News - 2022/08/10

Art Project with Shippio

「 一人一人の描く海 」

 

【 後編 】

組織の成長とともに変化するアートウォール

The Art Wall will grow together with Shippio.

後編 / 組織の成長とともに変化するアートウォール

2022.08.10

前回の記事では、アートプロジェクト企画の背景や制作現場についてお伝えしました。

今回は、出来上がったアートがいよいよオフィスを彩る様子、そしてアートに刻まれたメッセージをご紹介。その前に、新オフィスの空間づくりについても少し触れておきたいと思います。

【 後編 】新オフィス - 空間づくりのこと

Shippioのオフィスプロジェクトがスタートしたのは、完成から遡ること6ヶ月、2022年1月初旬のこと。

半年後に浜松町に本社を移転すること、この先の組織の成長を支える場として380坪の区画を借りることを聞き、プロジェクトがスタートした。

下の写真は、2022年1月浜松町の新オフィスを現地調査した時の写真。新しい拠点に選んだのは、東京湾の景色が一望できる、ビルの15階。

空間を計画する際に大切にしたのは、Shippioが新しい拠点として「浜松町」という土地を選んだこと。

浜松町は、交通・船・飛行機などあらゆる物流の拠点となる場所。そして15階のオフィスからは、東京湾が一望できる。さらに別の方向を見れば、ビルを囲むように首都高が走る。渋谷や恵比寿などの都心部では見ることのできない景色が広がる唯一無二の存在であるこの場所を選んだことを、住所だけでなくオフィス内部の空間においても表現していきたいと考えた。

物流業界に変革を起こす「Shippio」のロゴは、ビルが立ち並ぶ都会の風景でもなく、緑あふれる自然でもなく、当然ながら海の風景と重なった時に最もしっくりくる。そして、「Shippio」のロゴだけでなく、空間構成、家具、素材、あらゆる要素が国際物流との繋がりを感じられることがShippioのイメージを形作っていくものだと考え、手を進めた。

(下の絵) レイアウトと同時に描いた初期段階のスケッチ。オフィス内を移動することで海の風景が自然と目に入るよう、回遊性のあるレイアウトを計画。

レイアウトにおいては、エントランス、会議室など来客者を招き入れる「ビジターエリア」と、社内のメンバーが集う「リフレッシュエリア・セミナースペース」を海の景色が一望できる東の方向に計画。

エントランス、待合スペースを抜けて、会議室に向かう回遊性のあるレイアウトでは、通路を進むことで必ず、海の景色が見えてくる。

通路を1段高く設けたのは、海の景色が自然に見下ろせるように。

全体の空間構成だけでなく、細部に至るまで、国際物流を感じられる要素を組み込んだ今回のオフィス空間。

来客を迎え入れる貨物船をモチーフにした大型のカウンターは、貨物船をリアルに感じられる形状を3Dイメージで検討。実際の造作は、ずっしりと重さを感じる造りだけでなく、海を旅する時間の流れを感じるよう表面にエイジング塗装を施した。

そのほか、貨物の輸送に使われる木製パレットを活用したソファ、通路の柵に使用したロープも、程よくエイジングが施された質感のものを取り入れ、完成後にも空間に馴染みながら変化する楽しみが味わえる。

貨物船をモチーフにしたカウンターの最終図面。形状は図面と3Dで細部まで検討を繰り返した。

中古パレットを活用したソファや通路のロープ、帆布を使用した室名サイン

そして、アートがオフィスの一部に。

様々な計画を経て、オフィス内の工事がスタートしたのはプロジェクトのスタートから約5ヶ月が経った6月のこと。オフィス内の内装工事期間はそれから約2ヶ月。

下の写真は7月末頃、すでに完成間際を迎えたオフィス。右の白い壁面がアートの設置場所となる。

飾られるアートには、最後の宿題として提案させてもらった、それぞれのShippioへの思い、今後の決意を表現する1つのワードが手書きで描かれている。

アートウォールを設置した目的は、Shippioの「多様性」や、組織の「勢い」を空間で表現すること。

Shippioでは、当然組織としての役職やポジションはあれど、それぞれの個性を認め、多様性を大切にするカルチャーが根付いている。そのような組織の特徴を表現するため、役職やチーム編成など一切関係なしにランダムに作品を飾った。

下の写真は、アートが彩られ、完成したオフィスの風景。  「Shippio Office」プロジェクトページは近日公開予定です。

作品には、それぞれの思い、目標を示す1つの言葉が刻まれている。

 

それぞれのアート、そこに込められたメッセージ

(下写真) セールス&マーケティングを担う小山田さんの作品。

深海に光が差し込む様子を描いた絵の中央に書いたのは「go」という文字。

ー (小山田さん)「ShippioのAnchors(アンカーズ) (*)」 の1つである「光を目指し続ける」をイメージし、海の深いところに光が差し込む絵を描きました。 今は色々なことを模索しながら挑戦していますが、Shippioに光はすでに差し込んでいる(絶対成功する!)という確信を込めて描きました。 メッセージには、前進し続けるようにと願いを込めて、「go」という言葉を選びました。」

* Shippioでは、メンバーに求めるバリュー(行動指針)のことをAnchors(錨)と呼んで大切にしている。

(下写真) 急速に成長する組織を支える、コーポレート部で活躍する加賀さんの作品。

ー (加賀さん)「Shippioに参画する直前に旅した八丈島で見た風景。光線が雲の切れ間から海面に射していたのが美しかったのを思い出して描きました。物流とは全く異なる業界で仕事をしてきた私がJoinを決めたのは、Shippioで働く人たちの未来を語る言葉が力強く、一緒にその夢を実現したいと思ったから。 この光のように、未来を描くビジョンは真っ直ぐで揺るぎなく、強く惹かれたことを覚えています。

スタートアップが持っている武器は、メンバーの様々な知見と経験。それを最大限にパフォーマンスできる状態は、信頼関係が築けているからこそ。「Trust」は、その思いと、Anchorsの1つである「仲間を信じぬく」を込めて選んだ言葉です。」

約半年に渡った移転プロジェクト。Shippioの代表取締役CEOの佐藤氏も、もちろんそのウォールアートの1ピースを描いている。

プロジェクトの始まりから、Shippioが挑む国際物流の現状、それに伴う組織の展望、今後の夢、いろいろな熱い思いを語りながらIILS.に空間づくりを託していただいた。

組織の多様性をアートで表現しましょう、と提案した当初、多少の戸惑いのある反応を感じながらも、企画書や動画を通じ実現したいことを伝え、実行するに至った。移転前の数ヶ月、全社員の協力のもと実施した今回のプロジェクト。オフィスの完成後に聞いた佐藤氏の感想にも、熱い思いが込められていた。

ー (佐藤氏) 「一人一人の海を描いてエントランスに置きませんか」と提案を頂いた時、実は正直ピンと来ず、若干おそるおそるスタートしたこのアートプロジェクト。しかしながら始めてみると、メンバーそれぞれが悩みながら、また作成する過程を楽しみながら描いていくのを見て、個の可能性、生き様、そして信じることの大切さといったことを改めて認識しました。

ミッションの達成に一生懸命になると、時に視野が狭くなってしまうことがあります。日々エントランスでこのアートを見て、組織の多様性、個の力を信じることの大切さをガツンと感じて事業を前に推進していければと思っています。」

そして、絵に描かれたのは、ー Per Aspera, Ad Astra(ペル・アスペラ アド・アストラ)というラテン語のメッセージ。

ー (佐藤氏) 「この言葉は、「困難を克服して、星を目指す」という意味をもっています。エントランスに掲げられた一人一人の想いと共に、遠大な夢と希望を追う旅を続けていきます。」

Shippio代表取締役CEO 佐藤孝徳氏

エントランスの壁面には、現在41枚の作品が飾られている。今後も組織の成長とともに変化し続ける予定だ。その変化を見られることも、オフィスを訪ねる楽しみの1つである。

Shippio Office Project

 

Book Selection for Shippio

『 Aerial Observations on Airports 』

  • ミュンヘンを拠点とする写真家Tom Hegenの写真集。

    Tom Hegenは、「雲の上では自由は無限でなければならない」というテーマで撮影した航空写真で世界的に知られるようになった。

    この本は、コロナウイルスによるパンデミックの影響で閉鎖された空港をヘリコプターで飛行し、滑走路の空撮を行ったユニークな作品集。

    ドイツの空港の様子を幾何学的な明快さで表現し、人間が自然に介入するのではなく、自然が人間に影響を与えるということを投げかけている。

『 FISH STORY 』

  • アメリカ人フォトグラファー、Allan Sekulaの作品集『FISH STORY』。

    1989年から1995年の6年をかけて完成したこの本は、セクーラが作家人生をかけた現代の「批評的リアリズム」の追求がその最も複雑な表現に到達するところを体現している。

    またこの本では、国際世界における重要な空間である「海」について探求。貨物船の動きと世界産業経済の国際化の成長、このふたつの視点が交わること、そして同時に実際の港湾部における社会空間へのその影響が描かれた本である。

『 NEW WAVES 2000-2013 』

  • 2000年にスタートした、写真家ホンマタカシによる「NEW WAVES PROJECT」。

    ライフワークとしてハワイのオアフ島ノースショアーの波を撮り続け、その期間は実に10年以上にわたり、膨大な数の波の姿が写し撮られている。

    この写真集は、NYでの2013年の個展に合わせ発行された集大成的な一冊。2013年のNYでの個展に合わせ発行された。