Interior design

PMO Takanawa Gateway

野村不動産株式会社が手掛けるオフィスビル事業「PMO:Premium Midsize Office」の新築物件「PMO高輪ゲートウェイ」が2024年10月末に完成した。

物件は、JR山手線高輪ゲートウェイ駅から徒歩8分。付近では、JR東日本が品川エリアで進める都市開発プロジェクトの一環である複合型施設「高輪ゲートウェイシティ」の大規模な開発が進む。

今回手掛けたのは、「PMO高輪ゲートウェイ」の2フロアに展開するセットアップオフィス。窓からは大規模な都市開発により変わりゆく街の姿が一望できる、好立地なオフィス空間。

現在、多くのセットアップオフィスが市場に出回る中、野村不動産の手がけるセットアップオフィスとはー  という問いを念頭に今回の計画がスタートした。


異なる使い方を実現する、2タイプのオフィス空間

今回完成したのは2つのバリエーションのオフィス。2つのフロアに、それぞれ異なるタイプのセットアップオフィスを計画した。

一つは、 「共用のコミュニケーションラウンジを備えた、セットアップオフィスとサービスオフィスの間を狙う空間」。

区画の入り口に計画したのは、広々と開放的なラウンジ。2区画の入居者が利用可能な空間となる。共用ラウンジの奥、東西に分かれたオフィスには、2つの企業が入居する。

ラウンジを構えたことには2つの意図がある。

1つ目の意図は、通常のセットアップオフィスでは持ちにくい、インパクトのある大空間を持つこと。

セットアップオフィスの場合、オフィス全体にできるだけ多くの席数を設けることが、優先順位の高い要件となることが多い。そのため、空間の余白が排除されるケースが多く、エントランスやラウンジに広い空間を確保したセットアップオフィスの事例は少ない。

今回の計画では、2区画共用のラウンジとすることで、それぞれの余剰空間をラウンジエリアに集約し、広々とした空間を生み出した。開放感のあるラウンジを設けることで、エントランスからガラス越しに見える外の景色へ、一体感を持った階層として視覚的に繋がる。

2つ目の意図は、コミュニケーションエリアを充実させること。2区画の共用エリアの広さがあることで、利用できる機能が増える。

2区画には、それぞれ別の企業が入居するケースもあれば、グループ企業が東西区画に分かれて入居するケースなども想定している。

共用のラウンジには、商談用の会議やミーティングに利用できる会議室やオープンなミーティングスペース、オンライン会議や集中作業に利用できるワークブース、気軽な立ち話やブレストにはハイカウンターを利用したりと、集中の深度や目的に合わせ、様々なスポットを選んで過ごすことができる。

打ち合わせの空間をセキュリティエリア手前に配置することで、集中とコミュニケーションの空間を分け、執務スペースとは気分を変えて過ごすことも働きやすさの実現に繋がる。

ゆったりとしたラウンジがあることで、来客を招きやすく、広々とリラックスした空気感の中で、自然なコミュニケーションも発生しやすい。

一方、もう一つのフロアに計画したのは、「東西の抜け感へと視界が広がるオフィス」。 

PLAN-Aと同様に、1フロアを中央の壁面で2つに仕切り、東西の各区画に2つの企業が入居する。

窓の外に大規模な都市開発の風景が広がる好立地なオフィス。外の景色への抜け感を確保するため、エントランスを仕切る壁面はガラスの自動ドアを設置した。

さらに今回の計画では、エントランスを仕切る壁のみを斜めに構えたことが特徴となる。執務スペース、会議室、リフレッシュエリアなど、オフィスの中の要素は区画に対して正体して配置しながら、入り口の壁面のみを斜めの方向に仕切った。限られた空間でありながら、エントランスからの視界が窓面に向かってパノラマに拡がり、エントランスから外の景色へ一体感をもって繋がる。

セットアップオフィスとは、すでに内装や家具が整えられた状態で貸し出されるオフィス物件。設計段階では、どのような企業が入居するかが決まっていない。

インテリアは、完成後にも自由にカスタマイズできる余白を残したシンプルな設えに、植栽やアート、クッションやディスプレイ小物などで、細部に彩りを加えている。

「働き方のイメージを訴求したい。」そのような思いで計画されたPMOのセットアップオフィス。著しく成長する周辺の街と同様に、この場に多くの人が集うことで、空間が活かされ、育っていくことを願う。

Project details

  • Location / Area

    Tokyo, Minato-ku /

    延床面積 / 5780.96㎡ 、各フロア面積 / 444.35㎡

  • Date of Completion

    2025.01

  • Client

    野村不動産株式会社

    PMO 公式サイト

  • Design

    I I L S Inc.

  • Design / Construction

  • Photographer

    Yoko Okada