Interior design

paiza

国内最大のITエンジニア向け転職・就職・学習サービス「paiza」を開発・運営するpaiza株式会社。

IT技術の進展が目覚ましい近年、IT業界だけではなく、商品やサービス開発にもIT技術が欠かせないものになっている。しかし現在日本で指摘されているのは、IT人材不足の課題。

IT需要に対して人材供給が追いつかない需給ギャップが生じており、経済産業省が公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(*1)」では、2030年時点で約79万人規模でIT人材不足が生じる懸念があることが試算されている。

そのような社会課題を認識し、IT人材の育成を通じ、課題解決に取り組むpaiza。

2012年の立ち上げから12年。

組織の成長に伴い、2024年3月、経済と文化発展の中心地である虎ノ門へ本社オフィスを移転した。

*1・・「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

「 異能をのばせ。 」を体現するオフィス

新オフィスは東京都港区、虎ノ門二丁目タワーの18F。約300坪の広々とした1フロアがpaizaのオフィスとなる。

paizaが企業コンセプトに掲げる「異能をのばせ。」

企業コンセプトを英語で表現することが多い中、英訳せずに、日本語のまま伝えたいというこだわりがあった。その想いを受け取り、この「異能」という言葉を大切に表現したいと考えた。

「異能をのばせ。」のコンセプトを体現する空間を実現するにあたり、3つの観点で「異能」について考察した。
1つは「異能を感じる空間」、2つめは「異能が好む空間」、そして3つめは「異能を育む空間」。

*異能・・「平凡、凡人」などの対義語。「異能」を持つ人とは、既成概念に縛られた考え方、一般的でありきたりな思考回路を持つ人格とは対照に、既成概念に捉われず斬新な考え方ができる人格、誰も思いつかないような革新的なアイデアを持つ人格を示す。

 

異能を感じる空間

エントランスを抜けると、真っ先に目に入る天井の造作。異質感と存在感があり、人の興味を引く。パッと見た瞬間に意図が理解できるものではないが、目の前に見えるものは何だろうと興味が湧く、インパクトのある造作を空間の中央に鎮座させた。

この天井造作は、10PRINTのプログラムコード「CHR$(205.5+RND(1));:GOTO 10」から完成する、迷路のような形状をモチーフにしている。

一目して理解できないが、敢えて主張の強いものを空間の主役にし、足元にプログラムコードの文字を刻むことで表現を補足した。

そのほかにも、オフィス内にはプログラミング要素にまつわる仕掛けを散りばめている。

オフィス内に配置された8つの会議室と、3つのパーソナルブース。そのすべてには、Python、MySQL、CSS といったプログラミング言語の名前が付けられた。それぞれの会議室には、室名であるプログラミング言語にまつわるアートを配置。社内を訪れた人にもその遊び心を伝えることができ、会話が弾むきっかけとなる。

「CSS」と付けられた遮音ブース。目隠しシートのベースには、0と1の数字で構成される「バイナリコード」をモチーフにした模様を制作。

会議室「Python」には、プログラミング言語「Python」の由来となったイギリスのコメディ番組『Monty Python’s Flying Circus(空飛ぶモンティ・パイソン)』のビジュアルを飾った。


異能が好む空間

出社とリモートワークの働き方がハイブリッドで実施されるpaiza。オフィスに人が集まることで、偶然に人と出会い、コミュニケーションが生まれることも、オフィスを持つ重要な要素となる。

空間のレイアウトにおいては、行き止まりのない迷路のような動線計画、幾通りもの使い方ができる空間を計画した。日によって様々な動線を通り、オフィス内を移動する際に偶発的なコミュニケーションが発生する。結節点となる場所にコミュニケーションスポットを配置することで、自然なコミュニケーションも発生しやすい。

また、遮る壁が少ない、視界が遠くまで広がる空間であることで、誰かが打ち合わせをする姿、黙々と作業をする姿、笑い合う姿など、他のメンバーが働く姿が目に入る。仕事で関わるメンバー以外にも、他者への理解、刺激が生まれ、仕事に良い影響を及ぼすと考える。

オフィスでの過ごし方、オフィス内での移動の仕方が何通りもあることで、クリエイティビティが刺激され、異能をのばすことにも繋がる。

(上の図) paizaオフィスのレイアウト

行き止まりのない通路をオフィス全体に巡らせ、通路が混じり合う結節点にはコミュニケーションを促す仕掛けを配置した。

 

異能を育む空間

レイアウトの計画、オフィス全体に散りばめたpaizaらしさを感じる仕掛け。

「異能」な人とは自分たちにしか分からないこだわりや好み、他者に評価を求めず、自分が好きなものを突き詰める。そのような才能を持つ人物であると考えた。

デザインにおいては、色合いや素材感、小物のセレクトなどに、落ち着きを感じる雰囲気、調和感のある状態ではなく、外した色合いのセレクトや、一見すると気づかないようなこだわりを入れ、そこから生まれる違和感のある状態を大切にしている。

内装だけでなく、働き方やコミュニケーションの取り方、オフィスで目にするアートやディスプレイなど、細部に至るまでコンセプトを組み込み、構築したオフィス。

「異能をのばせ。」を体現する、paizaの新たな拠点が完成した。

Project details

  • Location / Area

    Tokyo, Minato-ku / 981.4㎡

  • Date of Completion

    2024.3

  • Design

    Interior design / I I L S. Inc.

  • Client

  • Furniture / Materials / Green

  • Photographer

    Yoko Okada