Interior design

Coral Beach

SaaSから核融合まで、あらゆる業界のトップの起業家に投資するベンチャーキャピタルであるCoral Capital。

社名のCoralの意味である「サンゴ礁」は、海洋生物の生命を支える存在。食や棲み家を提供する海洋生態系の基盤である。

それと同様に、Coral Capitalもスタートアップのファウンダーや従業員の成長に寄与し、その成長に必要なリソースを提供していく、という思いが込められている。

Coral Capitalは現在、2,000名を超える投資先起業家・社員が集まるコミュニティをオンライン×オフラインで構築している。

今回新たに創る空間。その目的は、Coralのコミュニティをより強固にすること。イベントやスクールなどを通じ、オフラインで人が集まり、偶然出会い、情報や学びを交換する場。

コミュニティを根付かせるための場所となることを目指した。

コミュニティを根付かせる場所

オフィスは、2023年11月にオープンした虎ノ門ステーションタワーに隣接する江戸見坂テラスの最上階。広々とした窓からはたっぷりと日の光が注ぎ込む。

約100坪の空間の北西の方角には、植物が生い茂るルーフテラスが繋がる。

新オフィスの名称は、「Coral Beach」。

Coral Capitalの移転先、新オフィスとしての機能に加え、投資先の創業者や社員に向けたシェアオフィスとしてオープンな空間でありたいという思いがあった。

今回、Beachの空間を実現するにあたり、オフィスをデザインする以前に、いくつかのプロセスを経ている。

Coral Beachに根付かせたいコミュニティを理解し、デザインに落とし込むための過程である。

  •  Coralのメンバーの特性とはー

  •  Coral Beachに必要な機能・要素とはー

  •  Coral Capitalの目指すコミュニティとはー

  •  そのコミュニティに必要な空間とはー

理解を深めるにあたり、Coralのメンバーの行動記録調査を始め、Coral Capitalのメンバーだけでなく、投資先企業へもオンライン調査を行った。

オンライン/オフラインの調査から得た情報をもとに、Coral Beachのデザインを行った。

Beachには、仕事や会議、商談などを行うオフィスとしての機能、Coralが主催するセミナーやスクールの開催の場としての機能に加え、投資先企業のメンバー同士の交流会やオンライン/オフラインセミナーの開催など、多岐にわたって利用可能な場所が必要であった。

約100坪のフロアの中央には最大70名規模で実施可能なイベントスペースと繋がるバーカウンターを設置。ランチやカフェ、バータイムなど、1日を通して人が集まり、交流する場となる。

カウンターをUノ字に囲むことにより、1人でも複数人でも、カウンターに視線を向けた輪ができる。中央に人がいる場合にもそうでない場合も、円で繋がり会話が弾む。カウンターを挟んで両側に通路が確保されていることにより、その場で偶然居合わせた人同士も、自然に繋がることができる。

以前のオフィスでは、カフェやレストランなど、外で人と会う機会・時間が多かった。人と繋がり、交流することを大切にするCoralのコミュニティに必要不可欠な機能である。

さらに、Beachのコンセプトを実現するにあたり、必要な機能・要素を備えるだけでなく、空間・家具の素材選びやCoralのブランドを表現するための配色、サイン計画、小物のディスプレイなど細部に至るまで拘りを詰め込んだ。

カウンター天板や造作テーブルなどには自然素材を使用し、手に触れた時の質感や温かみを大切にしている。

アートやクッション、小物などには、Coralのブランドカラーを取り入れ、海や自然を感じるものをセレクト。空間全体を通して、Beachを表現した。

新たなオフィスでは、投資先コミュニティをさらに強化し、スタートアップの成功を加速させる環境を育み、発信していく。

Project details

  • Location / Area

    Tokyo, Minato-ku / 326.78㎡

  • Date of Completion

    2024.1

  • Design

    Interior design / I I L S. Inc.

  • Furniture / Materials / Green

  • Photographer

    Yoko Okada