Interior design ・ Store management

Bar sasa

2023年9月23日、「Bar sasa」がオープン。

場所は福岡市早良区(さわらく)。空き店舗を全面改装した、広さ約9坪 / 15席の空間。

I I L S.の新しい事業領域として、内外装のデザイン、家具やディスプレイ、食器類の選定、ブランドロゴや、提供するドリンク・フードのメニュー開発など、店舗の運営に関わる全てを手がけたバーである。

目的は、店舗を創り、その先のコミュニティ形成を自ら実践すること。

デザイン業界は顧客が求める優れたデザインを提供している。ただ、それはあくまで一次的な目標であり、最終的にはその店舗に人が集まり、繁盛すること、住宅であれば居心地良く幸せな生活が送れること。

つまり箱を作って終わりではなく、最終的にその空間に人の営みが根付くこと、意図したコミュニティが形成される事を目標としている。

しかし、通常のデザイン業務では引き渡し後にはデザイナーの手を離れてしまうため、目標達成、即ちコミュニティの形成を見届けることができない。

今回の試みでは、空間を創るその先を、自ら実践したいと考えた。

 

Bar sasa 内装工事前の写真

 

この土地に根付く、新たなコミュニティを築く場所

店内は、広さ約9坪の空間。中央にU字型のカウンターを配置。カウンターを囲むように、ダイニングチェアが並ぶ。入って左手には、既存壁のしつらえをそのまま残した壁面に、スタンディング席を2席。入り口側にはゆったりと寛ぐことができるソファを配置した。9坪の店内には、アナログレコードの音が心地良く拡がる。

中央にU字に囲む形のカウンターを配置したのは、コミュニティを形成することを目的とした空間であることに由来する。

通常のバーのスタイルでは、店主と対面で客が向かい合い、客同士は横並びに座る形が多い。1人で来店した際には、店主と対面で向かい合い、2人の時には2対1の構図、4人以上になると、端に座る人が会話の輪に入れないケースが出てくる。

Bar sasaでは、中央のテーブルをUノ字に囲む。これにより、1人でも複数人でも、最大9名までは、カウンターに視線を向けた輪ができる。中央に店主がいる場合には、店主を囲んで会話が盛り上がる。仮に店主が居ない場合にも、向かい合う客同士で会話が弾む。

その場で隣り合う客同士だけでなく、空間に居合わせた人が円に繋がることができる。

入り口付近には、深く腰掛けることのできるレザーのソファを配置。また、ラフに立ち話をしながら飲むことができるスタンディング席も用意した。

一人でも、複数人でも、その日訪れたシチュエーションにあわせて、空間を自由に使って、過ごしてもらうことを意図している。

内外装の設えは、両サイドの壁面や天井など、既存を活かしながら必要な部分に足し算をした。

外観には、視線を遮りながらも店内の賑わいが外へ伝わるよう、ガラスブロックを施工。入り口の造作扉のハンドルは、手に触れた瞬間に上質な感覚が伝わるよう、オイルレザーを職人の手で縫い付けた。時間が経つごとに、味わいが増していく。

空間の魅力は、見映えの良し悪しだけで語られるものではなく、最終的にその空間に宿るコミュニティによって生み出される。つまり、建築やインテリアのデザインは、その空間に息づくコミュニティの形成を最終目的としていると考えている。

「Bar sasa」は、そのような信念を体現する場として創った空間。

一息つきたい時、新たな情報に出会いたい時、自分の成果を誰かに話したい時。

日々の出来事を語り合い、または一人で考え込む。思考のチューニングを行う場所。

多くの人が訪れ、新たなコミュニティを築く。

ここに来れば新しい出会いや発見がある。そのような場所に育っていくと嬉しい。

Bar sasa

Address:Minamisho 4-5-7 , Sawara-ku, Fukuoka, Japan, 814-0031

Opening hours:19:00 - 25:00

Project details

  • Location

    Sawara-ku, Fukuoka, Tokyo

  • Date of Completion

    2023.09.23 open

  • Design

    Interior design / I I L S. Inc.

  • Store management

    I I L S. Inc.

  • Furniture

    COMPLEX UNIVERSAL FURNITURE SUPPLY・Time & Style・Lloyd’s Antiques・Antry Use Only Genuine

  • Photographer

    Yoko Okada